「急遽、社内異動でWebマーケ担当になったのはいいもの…オウンドメディアとコンテンツマーケティングって、なんかややこしくて、いまいち違いとかがよくわからない…」
「オウンドメディアとコンテンツマーケティングについて他の記事も読んだけど、専門的な解説ばかりで結局なにが大事で何が違うのかが理解できなかった…」
このような疑問や悩みで日々悶々としながらも、なんとなく会社のオウンドメディア運営などを担当されている方も多いのではないでしょうか。
学習するのは多少大変ですが、オウンドメディアとコンテンツマーケティングの根本的な違いを理解すれば、自然と自社の強みに応じた施策を実施できるようになります。
本記事では、これからオウンドメディアを新規に立ち上げる方や、新任のコンテンツマーケティング担当の方向けに、実践で使える知識に絞って、両者の違いから知っておくと業務で苦労せずに済む必須ポイントを網羅的に解説します。
この記事を読めば、オウンドメディアとコンテンツマーケティングの役割や違いを踏まえた適切な運用や施策ができるようになりますので、是非最後まで順を追ってご一読くださいませ。
オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違い
オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違いを簡潔に言うとすれば以下になります。
オウンドメディア=ストック型の情報発信媒体
オウンドメディアとは簡潔に言うと、自社で管理・運営している企業ブログやWebサイトなどといった、”情報コンテンツの入れ物”のようなものといったイメージが近いです。
企業はオウンドメディアを活用することで、自社の活動を社外に効果的にアピールできたり、営業活動におけるリードナーチャリング(顧客獲得のための見込み顧客の教育)を効果的に進められたりといった様々なメリットがあります。
オウンドメディアに良質な記事をストックしておくことで、SNS経由などでサイトに流入してきたユーザーに、効率よく自社を知ってもらうことも可能です。
コンテンツマーケティング=オウンドメディアを支える施策やHow to
コンテンツマーケティングとは簡潔に言うと、オウンドメディアにユーザーを誘導するための施策や方法などといったマーケティング戦略全般を主に指します。
昨今ではオウンドメディア運営に参入してくる企業が著しく増加しているため、自社のオウンドメディアへ如何にユーザーを集客するかといった最新のコンテンツマーケティングの手法がとっかえひっかえ生まれて注目を集めています。
企業がオウンドメディア運営に注力すべき理由4選
企業がオウンドメディア運営に注力すべき主な理由は以下の通りです。
Web広告のコスパが年々悪化しているから
昨今、リスティング広告やバナー広告をはじめとしたWeb広告を利用する企業が著しく増加した結果、年々広告運用のCPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)が悪化してきています。
原因の一例をあげると以下になります。
- CPC(Cost Per Click:クリック単価)の高騰:競合増加で優良な広告枠の単価上昇
- ユーザーの広告離れ:ステマや景品表示法違反、薬機法違反などの悪質な広告の増加
- クッキー規制によるターゲティング広告の精度低下:GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制強化によるターゲティング広告の規制強化
良質な潜在顧客を獲得しやすいから
オウンドメディアを上手く運用することで、自社のファンになった良質な見込み顧客を比較的簡単に獲得しやすくなります。
イメージとしては以下の通りです。
- 潜在顧客が潜在キーワードでGoogle検索
- 自社メディアの記事がGoogle検索結果で上位表示され、ユーザーに記事が読まれて満足してもらう
- ユーザーがその他の優良な情報を求めて次から次へとその他の記事を読む
- その過程で顧客が自主的に教育される
- 信頼されてお問い合わせが来る
- 自社についてよく知っているため、お問い合わせの段階から踏み込んだ商談をすることが可能
オウンドメディアにストックされた記事を通して、自社の価値観も伝えることができるため、自社の価値観に合う良質なクライアントが自然と選別され商談後の不要なトラブルも減少させる効果も期待できます。
法人企業のドメインは上位表示しやすいから
昨今のGoogle検索の傾向として、企業ドメインのオウンドメディアは個人ブログと比較して圧倒的に簡単に上位表示しやすい傾向があります。
メディア運営会社の情報が適切に開示されていて、責任の所在が明確な状態で運営されている企業ドメインのオウンドメディアは、良質な記事をコツコツ作成することでGoogleやユーザーに評価されれば比較的長く上位表示をキープできる傾向にあります。
Googleが考える良質な記事の条件は以下の資料のP26をご参照ください。https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf
作成した記事が財産になるから
前述しましたが、オウンドメディアの記事はストック性が高いため企業の財産となります。
SNSの投稿はフロー型(次から次へと流れていく)のコンテンツの傾向が強いため、ユーザーは過去の投稿をわざわざ深く遡ってまで読んでくれない傾向が強いです。
オウンドメディアに登録している記事はユーザーにとってストック型コンテンツの傾向が強いため、古い記事でも興味関心や必要性に応じて読んでもらえる可能性が高い傾向があります。
また、記事作成を外注すれば経費にもできるため節税にも…。
オウンドメディア運営の必須ポイント3選
オウンドメディア運営の必須ポイントは主に以下になります。
メディア運営の目的を明確に策定する
オウンドメディアの構築・運用は多額の予算が必要になるため、事前にKGI(経営目標達成指標)・KPI(重要業績評価指標)などを明確に設定して、長期的に方向性がブレない運用をすることが重要です。
特にオウンドメディアの記事全体を通して、狙いたいターゲット層やオウンドメディアの運営意義など、途中で軌道変更することが難しい根本部分を初期に慎重に策定することが大切になります。
以下のようなことをオウンドメディアの立ち上げ前にリストアップするといろいろと見えてくるでしょう。
- なぜ運営するのか
- どういった情報を発信するのか
- 記事作成のペースは月どの程度にするか
- 今すぐに取り掛かるべきことは何か
- 現実的にどういった成果をKPIとするか
読者満足度の高い記事を作成する
前述しましたが、昨今のGoogle検索エンジンはオリジナリティが高く、読者ファーストで有益な記事を高く評価し、質の低い所謂コピーコンテンツは簡単に検索結果圏外に飛ばす傾向があります。
そのため、下手なSEO対策をして機械的に作成されたような中身スカスカの記事を量産するより、一記事一記事時間をかけて質の高い記事を作成することが重要です。
メディア運営のチーム体制を整える
オウンドメディアの運営は最低でも三人で役割分担することがおすすめです。
予算や人員不足の企業では、一人でオウンドメディアの運営をしているケースも多々ありますが、早々に限界を迎えて担当者の離職やコンテンツのクオリティー低下による検索順位の低下などトラブルが生じる可能性が高くなります。
そのため、最低でも三人以上で役割分担をして負担を軽減しつつ、オウンドメディアの運営のクオリティーを高めるのがおすすめです。
必要な役割の一例
- 編集長兼ディレクター:記事企画や記事構成作成・全体マネジメントなど
- サイト構築およびサイト管理者(エンジニアなど):タグ管理・CMSのメンテナンスなど
- マーケター:数値分析や戦略策定など
- ライター:記事作成など
- デザイナー:クリエイティブ作成など
注:それぞれ担当者の得意不得意に合わせて兼任するケースも多い。
コンテンツマーケティングの勘所
コンテンツマーケティングの勘所は以下があげられます。
ターゲットユーザーとの接触回数を増やす
はじめのうちはTwitterやFacebookをはじめとした様々なSNSを運用し、投稿に記事URLを記載することでオウンドメディアへの流入経路を増やすのが大切です。
人は接触回数が多ければ多いほど対象に対して好意的な感情を持ちやすい傾向があります(ザイオンス効果:単純接触効果)。
流入経路ごとに記事のURLに識別用パラメータを設定して、どの媒体経由のどの記事から流入したユーザーが自社のKPI目的に沿った行動をしているのかを分析し、ある程度データが溜まったら選択と集中の観点でSNS運用媒体を調整していくといいでしょう。
場合によってはSNSごとに投稿内容や切り口を変えて勝ちパターンを見つけて行くといった応用的な方法もおすすめです。
マーケティングファネルを意識した全体構成を組む
オウンドメディアと連動したコンテンツマーケティングを実施する際は、ターゲットとするユーザーのマーケティングファネル(顧客が商品を認知してから購買行動に移行するまでのプロセス)を意識したコンテンツ運用が重要です。
一例をあげれば、以下それぞれのターゲットニーズに合わせた記事運用が鍵を握ります。
- 認知:潜在キーワード
- 興味関心:潜在キーワー・顕在キーワード
- 比較検討:顕在キーワード
- 購入・申し込み・商談・リスト獲得:顕在キーワード
それぞれの目的に応じた記事をそれぞれ作成して、どの段階にいるユーザーも取りこぼしがないようにコンテンツを作成するのがおすすめです。
オウンドメディア運営の注意点3選
オウンドメディア運営の注意点は主に以下があります。
上位表示まで1か月~半年以上必要な場合がある
新規に取得したドメインや新規に立ち上げたオウンドメディアの場合は、Googleに記事がクロール(Google検索エンジンに記事を見つけてもらう)されて適切に評価されるまでに1か月〜半年以上要する場合があります。
そのため、なかなか上位表示されないからと言って中途半端にオウンドメディアの更新をストップしたりせず、中長期的なスケジュール感でオウンドメディアを育てる心構えが重要です。
記事作成のコストが膨大になる可能性がある
一部前述しましたが、予算豊富な企業では、オウンドメディアの運営を少なくとも三人以上で役割分担して進めているケースが多いです。
- 編集長兼ディレクター
- ライター
- SNS運用担当
- Web広告運用担当:広告代理店に外注されるケースが多い
- デザイナー:必要頻度次第ではフリーランスに外注されるケースあり
クオリティーの高い記事を作成する場合は、一記事当たり少なくとも1〜2日程度は作業時間が必要になるため、社員がライター業務を担当する場合はそれ相応のコストが生じます。
そのため、オウンドメディアを立ち上げる前の段階で、全体予算から逆算して最低限以下をリストアップするのがおすすめです。
- KPI達成に必要な記事数
- 人員数及び運用チーム体制
- KPI達成に許容できる最長期間など
- オウンドメディアを運営するそもそもの目的・意義
- 何をもって成果とするのか
ここをきちんと決めないままオウンドメディアを立ち上げて運営すると、途中で目的を見失い迷走した挙句、予算を無駄遣いするだけに終わるといったケースが多々見受けられます。
途中で更新停止にならないように決裁者の理解を事前に十分に得る
繰り返しにもなりますが、立ち上げたばかりのオウンドメディアは一か月そこらで簡単に利益に結び付くものではなく、開始初期の1年程度はコストがかかる一方で利益を生みにくい傾向があります。
そのため、簡単に営業成果に結び付かないからといって、決裁者の鶴の一声でオウンドメディアの更新停止といったことにならないように、経営層の理解を事前に十分に得ておくことが重要です。
コンテンツマーケティングの注意点3選
コンテンツマーケティングの主な注意点は以下があげられます。
作成した記事を放置しない
一度作成してGoogleで検索順位が付いた記事は、定期的にリライトして読者満足度の高い記事に更新し続けることが大事です。
サーチコンソールから流入KWを抽出して、記事コンテンツに追加したり、古くなった情報は最新の情報に更新したりするなど、日々記事コンテンツをメンテナンスすることが大切です。
一度上位表示したからといってメンテナンスせずに放置していると、場合によってはあっという間に検索順位が2桁代に低下するといったケースも多々生じます。
無理なKPIを設定しない
前述しましたが、新規作成したオウンドメディアの記事が、すぐに検索結果で上位表示する可能性は低いです。
- SNS経由などでのオウンドメディアへの流入数増加
- ユーザーのメディア内記事の回遊や好意的なアクション
- ブックマークや指名検索からのオウンドメディアへの流入数増加
- 上記を通じて徐々にGoogle検索エンジンからの評価が向上
- 記事がクロールされやすく、上位表示しやすくなる
一例ですが、上記の流れでオウンドメディアは育っていく傾向もあるため、成果計測におけるKPIは現実的な目標を定めるのがおすすめです。
数値分析から逃げない
記事をGoogleに登録したら、日々、GA(Google Analytics)やヒートマップなどで各種数値を分析することが大切です。
日々分析することで、ターゲットとしているペルソナにしっかりリーチしているのか、どういうユーザーに記事が好まれているのかなどある程度の傾向がつかめてきます。
つかんだ傾向をもとに記事のリライトをしたり、新規記事作成時の参考にしたりするのがおすすめです。
コンテンツマーケティング及びオウンドメディアの簡単な攻略法3選
コンテンツマーケティング及びオウンドメディアの簡単な攻略法を3つ紹介します。
社内横断的に資料を共有する
営業部が顧客獲得のために作成した資料や、広報部が作成した資料などを社内横断的に共有して、記事のネタになりそうな情報を収集するのがおすすめです。
リアルな現場の知見に基づく自社事業のアピールポイントや事例などは、他社が真似しにくいオリジナルコンテンツとしてSEOの評価が高い傾向があるため、自社独自の情報は積極的に記事に織り交ぜるといいでしょう。
記事のネタにも困らなくなります。
SEO知識が乏しければSEO記事は外注する
オウンドメディアの社内担当者にSEOの知見が乏しい場合は、SEOを意識した記事作成が得意な外部ライターに記事作成を外注するのがおすすめです。
全くの0からSEOの知識を取得して、SEO最適化した記事コンテンツを作成できるようになるには、早くても半年〜1年程度ひたすら記事作成を経験して添削を受け、技術を磨く必要があります。
そのため、コンテンツを内製する場合は社員教育コストが非常に高くなると言えるでしょう。
注:ちなみに、私は記事単価4万円(税抜き)以上で記事構成作成〜記事作成まで対応可能ですのでSEOライターが必要な際は気兼ねなくご相談くださいませ。
SNSでライバルやインフルエンサーをマークする
オウンドメディア運営の情報収集には、ライバルメディアや対象ジャンルで専門知識豊富なインフルエンサーなどのSNSをフォローするのがおすすめです。
チェックポイント
- どんな発信情報にいいね数が多いのか
- どういう情報が今需要が高いのか
- どういった人がその投稿にいいねをしているのかなど
競合が発信しているコンテンツに似た事例などが社内にないかリサーチしてみると、後発で競合記事より高品質の記事が作成できる可能性もあります。
まとめ
本記事では以下について解説しました。
- オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違い
- 企業がオウンドメディア運営に注力すべき理由4選
- オウンドメディア運営の必須ポイント3選
- コンテンツマーケティングの勘所
- オウンドメディア運営の注意点3選
- コンテンツマーケティングの注意点3選
- コンテンツマーケティング及びオウンドメディアの簡単な攻略法3選
是非、この記事を熟読して理解して、業務に生かしていただければ幸いです。